シリコンバレーは私をどう変えたか―起業の聖地での知的格闘記 |梅田 望夫
シリコンバレーは私をどう変えたか―起業の聖地での知的格闘記
梅田 望夫
新潮社 刊
発売日 2001-08
価格:¥1,470(税込)
オススメ度:★★★
アメリカの大手コンサルティング会社、アーサー・D・リトルを退社し、シリコンバレーで独立・起業したベンチャー界のカリスマ、梅田望夫初の著書。
本書は雑誌「フォーサイト」に連載された「シリコンバレーからの手紙」を内容別にまとめたもので、「シリコンバレーの基本を体感する」「ネット革命とバブル崩壊」「マイクロソフトとリナックス」「シリコンバレーは私をどう変えていったか」の4章からなっている。妻と2人で移住し、初めてシリコンバレーの価値観に触れたときの戸惑いや興奮、創業時の不安、現地のビジネス状況などが、手紙という形でリアルに語られている。世界各地からシリコンバレーに集まった天才たちの情熱とそれを育む風土、成功者として莫大な富を築き上げた者たち…。ネットバブル崩壊以前の活気あふれるシリコンバレーの状況が目に浮かぶようである。
本書は古き良き時代を振り返るだけの本ではない。著者はプロローグでも言っているように、「ネットバブルが崩壊し、シリコンバレーが失速した今も、なぜシリコンバレーにとどまって、ここで生きていこうとしている」のかを明らかにしようとしているのだ。バブルが崩壊した今だからこそ、真にベンチャースピリッツをもち続けられるかどうかが問われている。著者は、ネットバブル崩壊で元気がなくなっているベンチャー起業家にもう一度ベンチャースピリッツを吹き込む意図で、本書を出版したのかもしれない。(土井英司)
シリコンバレーのスピードとダイナミズムを体感 2004-09-20
著者は大手コンサルを独立後、シリコンバレーでベンチャやエンジェル(ベンチャキャピタリスト)を相手にシリコンバレーの起業ビジネスを立ち上げる。自分もその時期に現地でエンジニアとして、シリコンバレーのビジネスの風土を体感したが、著者はキャピタリストの立場でどのようにして起業するため各種エキスパートを人脈で見つけ、契約してバーチャルなベンチャ企業を構築していくかを体験記として興奮を交えて綴る。一番の顧客がファンド、株主である米国の会社の考えに対して、エンドユーザーと従業員を顧客と考える日本の会社の考えと文化に差はあり、それがダイナミズムとスピードの差となって日本を呪縛するし、日本の経済の閉塞を打破する答えをストレートに得ることはできないが、”敵を知り己を知れば...”の兵法に従えば、米国流のビジネス文化を理解するには希少な本と思う。
やや淡白 2004-06-09
シリコンバレーで起業した著者によるエッセイ集。筆者が見聞き、体験したことや、驚いたことなどを読みやすくまとめてありますが、やや内容が淡白に感じたので星3つ。交渉ごとや、その他知的格闘の実際を、より生々しく(赤裸々に)伝えてもらえたら、読者として満足度がより高かったと思う。有益だったトピックは、個人ベースでの勝負、大学と産業界の関係、シリコンバレーでのエンジニアの姿、ベンチャー起業者の心得(原則)3箇条などなど。
質高し 2002-12-27
本書は、大手戦略系のコンサルに勤めていた筆者によるシリコンバレー体験記である。筆者がそこで感じたこと、驚いたことなどについて極めて読みやすい文章で書かれてあり、シリコンバレーの人々がどのような感覚を持って、自らのビジネスに取り組んでいるか、について実感をもって知ることができた。質の高い書籍である。シリコンバレーでは、近隣大学との密な関係が非常に大きな意味を持っていて、「産」と「学」との距離は日本に比べると驚くほど近く、また両者がすごく自然な形で結びついてビジネスを展開している。
―― シリコンバレーは、「産学連携」といった生やさしい響き以上の、産業が大学の中に手を突っ込んで常時かき回しているような「産学一体」とでもいうべき混沌とした関係にある。(本文引用) ――
読んでみて、大学の役割について考えさせられた。経済大国・日本復活のために、大学はもっとできること・やるべきことがあるのではないだろうか。大学教授は、政府の批判ばかりしていないで、そういった自らの足元からこの国の未来の為にできることについて考える姿勢も持ってほしい。言いたいことはたくさんあるだろうが、この国の実体経済が回復基調に乗るには、マクロ政策だけでは限界があり、それを踏まえた上で、じゃあ自分はその為に何ができるか、を考えていかなくてはならない。その点、シリコンバレーという地は、「産」が深くビジネスのフィールドと関わりを持っている。本書は、たくさんの考える材料を与えてくれた。
.